ユッケ集団食中毒事件、原因は社長のケチぶり

 ユッケを食して4人の死者を出した焼肉チェーン店「焼肉酒家えびす」展開する「フーズ・フォーラス」。その原因は“ケチケチしすぎ”たことにあるのではないか、との声が同業者から出てきている。

 この騒動が起きてから、ある焼肉店のシェフは「ユッケで死者が出たというのは、自分が知る限り聞いたことがない。普通に調理していて死者が出るだろうか。まさか、前日残った古いモノを使ったりしているのでは…」と疑問を呈していた。

 その通りだった。通常は菌がつきやすい表面をそぎ落とす作業・トリミングを行うところを、「もったいない」という理由で省略。しかも、前日の在庫を使っていたということもわかっている。つまり、安全よりもコストを最優先した。 

 富山県を皮切りに北陸3県、さらには神奈川県にも20店舗を展開し、急速なスピードで精力を伸ばしたフーズ・フォーラス。安い価格で、高級店並のサービスを提供するコンセプトがウケた。

 ここに至るまでの、勘坂(かんざか)康弘社長のこれまでの生い立ちや考え方が、業績急拡大の陰で、凄惨な事故を生む結果となった。

 勘坂社長は金沢の大学に在学中からディスコでアルバイトを開始。飲食業で起業をしようと決意していたのだという。業界誌には、卒業後は派遣として働き、1000万円を2年間で貯めたのだという。そして、1号店の開業資金はその自己資金で賄ったことを告白している。貯金のコツを「使わない」ことだとしていた。

 2014年に東証マザーズ上場、2020年300店出店、「日本一の伝説となるレストランチェーン」を目標と掲げていた勘坂社長。ケチるところを間違え、もはや取り返しのつかない事態となってしまった。

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