「課長っぽい」東電の清水正孝社長

 福島第一原子力発電所の事故の収束に手間取っている東京電力。20日の取締役会では、勝俣恒久会長の傀儡といわれた、清水正孝社長の責任が追及されることは必至の状況だ。電力業界からは「ワンポイントリリーフ」という声も当初からあったが、炎上はさらにひどくなるばかりで、「エリート」は火消しをすることなく社長の座を去ることになるかもしれない。

菅首相に叱責された朝

 3月15日、東電本社では、顔面蒼白で会長の指示を仰ぐ清水社長の姿があった。


清水正孝社長
 全国紙記者によると、「東電は福島から撤退」ということが政府に伝わって、清水社長はこの日のまだ暗い午前4時すぎに首相官邸に呼びつけられたのだという。会話の内容まではわからないが、まだ真っ暗な時間帯に呼びつけられるということ自体が異常で、その内容は推して測ることができる。激しく叱責を受けたことは想像に難くない。

 首相にも叱責され動転して、もはや未曾有の危機を乗り切るだけの力を持ち合わせていなかった。

 そして同6時前には、菅直人首相が東電本社に乗り込むという緊急事態となった。本社2階に統合本部を設けることになったのは、この時からだった。

 閣僚、会長たちに叱責を受けながら、また、事態の収束が遅々として進まない中で、次第に焦燥が深まった。本社と近くのホテルの往復生活で、清水社長はダウンした、29日夜についに入院した。

 あまりにもよわよわしいエリートの姿は、国民に失望を与えた。

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