「創業一族の乱」株主提案がなぜ必要か?

 株主総会の本格的なシーズンが到来したが、株主提案が出されている企業が例年以上に目立つ。以前は配当などに矛先が向けられていたが、今年は取締役の解任や、中長期の経営方針など様々だ。東証一部「HOYA」に昨年から株主提案を行っている、創業家出身の山中裕氏は意義を「世代間の不平等をあらためて、30、40代からリーダーを出すこと」と話す。シーズン真っただ中の今こそ、株主提案の意味をここでもう一度考えてみたい。

日本企業の役員は高齢化しすぎ


エクソンモービルの定時株主総会
 昨年のHOYAの定時株主総会では、山中裕氏が提案した、取締役の報酬個別開示議案では、過半数に迫る45.37%の賛成を得るなど、一定の成果を収めることができた。株主提案で、これだけの賛成を集めたことは異例の出来事となった。

 提案を行った山中氏はHOYA創業者の山中茂氏の孫にあたり、現社長の鈴木洋氏とはいとこの関係にあたるために、世間からは「骨肉の争い」などと大いなる関心を呼んだ。しかし、当の山中氏は、その点については多くを語りたがらないが、あえて注目を集めるという要素を計算に入れた上で提案を行っているように見える。

 「日本は株主の権利を強く規定されている割には、株主提案では諸外国と比べて遅れています。株主が取締役会と直接対話できる機会は他にはなく、株主提案をもっと有効に使うべきです」

 提案で伝えたい山中氏のメッセージ。それはHOYAの中にも見ることができる。業績が停滞しているにも関わらず、取締役会が高齢化し、さらに90年代以降は研究開発によって新しい事業を育成できていないという。

 高齢化によって、チャレンジする風土が欠けてしまったということなのか?

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