「1億2000万円返せ」安愚楽牧場出資者の怒号

 今年最大となる約4330億円の負債を抱えて民事再生法の適用を申請した和牛預託商法の「安愚楽牧場」。多くのオーナー出資者が参加して神戸、東京でそれぞれ債権者説明会が行われた。牧場側は今後も全力で弁済することを約束したが、怒りを露わにしているオーナーは多い。ゆかしメディアは出席した複数のオーナーへの取材を基に、倒産までのドキュメンタリーをまとめた。

6月についに未払い


安愚牧牧場の債権者説明会が行われた両国国技館
 雨が降りしきる中、東京・両国国技館で行われた「安愚楽牧場」の債権者説明会。オーナー出資者約7万人というだけあって、昼と夜の2回に分けて行われ、それぞれ2、3000人が参加したようだ。1回約3時間の説明会はときおり、オーナーが声を荒げる場面もあったようだ。

 まず冒頭に、三ヶ尻久美子社長が涙ながらに頭を深々と下げて「申し訳ございません」と、謝罪したという。そして倒産の理由を2点挙げ、一つは昨年の宮崎県で起きた口蹄疫、二つ目は今年3月に起きた東京電力福島第一原発事故による解約が急増したことだという。

 「今年3月には口蹄疫の保険金が数十億円入ったと言っていた」(60代男性)という証言もあったが、かなり苦しんだようで、その程度ではどうすることもできなかったようだ。そのくらい解約のスピードはすさまじかったと見える。

 そして、ついに6月には未払いを起こしてしまったのだという。そこから、事態は風雲急を告げた。

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