作家・北杜夫さん、豪傑投資家伝説

 芥川賞作家、北杜夫(本名・斎藤宗吉)さんが24日、死去した。84歳だった。自身は、躁鬱(そううつ)病に悩まされ、躁状態の時には、株取引に熱中しすぎて自己破産したエピソードを持つなど繊細かつ豪快な人生だった。

 歌人・斎藤茂吉の二男で、東北大医学部を卒業後に、斎藤神経科医院の医師として働いたこともある。マグロ調査船の船医をした経験を描いた「どくとるマンボウ航海記」を発表し人気シリーズとなった。

 躁状態の時は気が大きくなり、株に全財産をつぎ込み、数千万円も負けて、税金を滞納するなどしたこともあった。これは76年にチャップリンのような映画を作ろうと考えて、株で資金を作ってやろうと画策したものの、失敗したものだ。

 日経新聞の「私の履歴書」では、「買った株は軒並み下がった。損失を取り戻そうと様々な株を買ったがすべて値下がりする。新潮社や佐藤愛子に借金をしてまで株を買った」と当時を回想していた。

 実際には他の作家にも金を無心したようで、一説には6000万円以上の損をしたのでは、とも言われている。

 また、阪神タイガースの熱狂的ファンを公言し、負けて悔しがる様をよくエッセーにも書いていた。


北杜夫さん(新潮社文庫「どくとるマンボウ航海記」より)

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