シャープ堺工場、最悪のタイミングで株主工場見学会

なんで「サムソン」に勝てへんねん!

 「工場内の照明はすべてLEDを使い、環境にも配慮しています」「社員もマイカーを自粛してエコ出勤しています」「東海・南海地震クラスに対応できる耐震構造」――という説明もあったが、巨額赤字の前では虚しい。こんな説明を4時間も聞かされ、さすがに株主はいらだっていた。

 不満が爆発したのが質問タイム。60代と思しき男性株主が口火を切った。「きょうは株主向けの見学会ですよ。一般向けじゃない。ここが立派、あそこが立派って、ならなんで(韓国)サムソン(電子)に勝てへんねん!」(ママ)

 別の株主からは「減産の影響は?」との質問。担当者が「奥の方のラインで、動いていないのがあったと思います。見学していただいたのは一番手前のラインでして…」と説明。見学会のために手前ラインを稼働させた、ともとれる発言で、思わず株主から失笑が漏れた。

 帰りのバスの中、男性2人の会話が聞こえてきた。「株主が聞きたい話はまったくなかったなぁ」「液晶の作り方より、この工場をどないするかが聞きたかったのに」。この会話がすべてを物語っている。


休憩時間に出たお菓子は堺工場の愛称「グリーンフロント堺」の抹茶カステラ。お土産は創業者、早川徳次が発明した早川式繰出鉛筆(後のシャープペンシル)のレプリカ。

1 2 3
よかったらシェアしてね!
目次
閉じる