米アップルの究極の節税スキーム

本社はカリフォルニア州だが……

 
 米企業史上最高の利益を稼ぎ出す米アップルだが、昨年の節税額は24億ドル(約1915億円)に上ることがNYタイムズの報道で明らかになったが、アップルに限らず大手米企業はいずれも節税努力を行っており、合法的な手段である限り脱税ではない。しかし、アップルの節税スキームは、米財政への影響、現在のデジタル時代にそぐわない税制の問題点を浮き彫りにしている。

 先ず、アップル本社はカリフォルニア州にあるが、法人税率ゼロのネバダ州リノにブレーバーンという金融管理会社を設立し同社の利益を株や債券投資に回すことで、カリフォルニア州の法人税率8.84%を免れている。ブレーバーンを設立した意味はこれだけではない。フロリダ、ニュージャージー、ニューメキシコなどでは州外で金融管理業務を行っている企業には減税措置が採られるため、これらの州に払う税金も節約できる。

 第二に、ロイヤリティやデジタル製品に対する課税である。アップル、アマゾン、グーグルといったハイテク企業は、物理的な製品からではなく、ソフトウェアの特許など、知的所有権のロイヤリティなどの形で利益を得る。ロイヤリティやデジタル製品はどこでも売れるため、こうしたソフト企業のほうが、自動車や食品メーカーよりも税率の低い国に利益を移転するのは易しい。したがって、デジタル経済の発展に伴って、ハイテク企業の多くの納税率は低くなっている。

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