米アップルの究極の節税スキーム

つけが及ぶのは一般市民

  
 こうした指摘に対して、アップルは「会計基準に則り事業を行っている」「政府に対して多額の税金を払ってきた」と反論している。しかもアップルは大学や救援団体に多額に寄付をおこなっている。こうした慈善事業には積極的だが、多額の納税には反対の姿勢をとっている。慈善活動と雇用創出で税の喪失分を埋め合わすことにはならないだろう。

 米国行政管理予算局によれば、1950年代には23.2% だった米国財政に占める法人税の割合は、2010年には7.2%にまで落ちこんでおり米国財政に打撃を与えている。オバマ政権も企業税制改正に向けて動き出しており、法人税率の引き下げや税制面の援助金や抜け道を廃止すべきとしている。実際、米国の法人税率は業種で異なっており、石油・ガス関連、保険、資産運用企業などの特定の産業には税控除が適用されている。

 米国の一般市民は納税を当然の義務と捉えているのに対して、大企業はその義務を回避しており、そのつけは一般市民に及ぶ。財政状況の厳しさ、緊縮財政による不景気や一般市民に対する税金の負担増を考えれば、先ずはグローバルでデジタル化した経済に即した法の整備と強力な行政力が求められそうだ。

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