「お金のためではない」尖閣諸島、2つの名家の思い

栗原家にも後継難

 まず5島のうち、1972年に北島、南島の2島が栗原家に譲渡された。次いで78年に魚釣島、85年に久場島それぞれの有権が移った(残る大正島は現在国有地)。

 弘行氏は「両家にとっては何とか維持してほしいというのが第一目的です。もし、維持できない場合は、自治体ないし、国に委譲することになるでしょう」と話す。

 そして栗原家は「長男が継ぐもの」だとしているが、当代の4兄弟には男の子がいないというという厳しい現状を明かしており、売却は不可避となっていたのだ。しかも国との賃貸借契約の期限も今年度いっぱいと迫っていた。

 そこに来た東京都の石原慎太郎知事からのオファーは、栗原家にとっては願ってもないものになっただろう。ちょうど石原知事との親交は40年ほどあるのだという。オファーした時が、石原氏がたまたま都知事だったということだったようだ。

 弘行氏は、尖閣諸島の価値を十分に理解した上で「周辺諸国が東シナ海の豊富な水産資源をうまく活用するためにも、(他国と)お互いにしっかり定着させていただきたい」と、日本だけでなく周辺諸国との折り合いについても言及していた。

 東京都が購入のために募った寄付金額は約13億7000万円を超えた(20日時点)。多くの注目を集めている証拠だが、今後の行方に国内だけでなく、海外からも高い関心が寄せられている。

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