大学は運用でなぜ大損したか

どうしたらリスクを取らせやすいか?

 「コンプライアンスの観点からも、適合性の原則といって、会社の規模に合わせた投資の案件を勧めるのが一般的です」と、業界関係者は話す。

 適合性の原則とは顧客の知識、経験、財産の状況、金融商品取引契約を締結する目的に照らして、不適当な勧誘を行ってはならないという規制を指す。

 「自制しても他社が営業を掛けたりすれば、行かざるを得ない面もあり、また、売り手のインセンティブの問題もあったり、必ずしも守りきれたかどうか。また、商品設計上は、一般的に為替はブラインドの部分も多く、マージンは取りやすくおいしいのも特徴です」(同)

 別の業界関係者によると、勧誘の一つのポイントは「どうしたらリスクを取らせやすいか」だという。当時は、豪ドルなどの高金利通貨を安定した為替市場で運用できたために、抵抗がなかったのだろう。

 ともあれ、大学側は投資対象をよく理解していたのか、相場は常に変動する可能性があることを理解していたのか、など疑問も多く残るが、投資家があとから悔やまないように多くの教訓を残してくれた事件でもある。

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