日本にも低年齢向けボーディングスクールはつくれる?
―スイスでの3年間で子供たちが獲得した能力は、まとめるとどのようなものでしょうか?
「どんな相手とでも物怖じせず即座に交流できるコミュニケーション能力。世界語としての英語力、フランス語・ドイツ語などの第2・第3外国語力。多彩な人脈。グローバルに通用する上級学校に進学しうる学力、などです。スイスのボーディングスクールは、個々の生徒のニーズに合った学校生活をこまやかにアレンジしてくれます。質の高いパーソナルな教育を受けるには高額な費用がかかりますが、でも反面、お金のかけがいがあるのもスイスの教育です。」
―若草さんにとって、スイスでの低年齢留学は成功したと言えますか?
「成功かどうかは2人が大人にならないとわかりませんが、現時点ではこれがベストであったと思っています。夫と私が、娘たちに身につけて欲しいと願っているのは、『普遍的生存能力』です。英語やコンピューターは、そのための道具に過ぎません。『普遍的生存能力』を培うには、年齢も文化も異なる子供同士が切磋琢磨しながら育つスイスのボーディングスクールに、5歳・6歳というあの年齢で出すのが我が家にとっては最も適していたのだと、とても満足しています。」
―留学コラムニストとして、今後はどのような活動をされますか?
「娘たちを託せる学校をさがし求めて見つけたスイスの低年齢向けボーディングスクールに、すっかり魅せられてしまいました。日本ではあまり知られていなかったラ・ガレンなどそれらボーディングスクールの素晴らしさをより広くお伝えできるよう、これからも活動していきたいです。また、最近は低年齢留学という言葉が浸透し、ご相談を受ける機会が増えました。留学の意義はわかるものの、しかしスイスは日本から遠いのと費用がかさむので、小さなお子様を手放しにくいと仰るお声をよく耳にします。そのため、いっそのこと、日本国内にもラ・ガレンのような低年齢向けのバイリンガルボーディングスクールを創れないかと思案しているところです。」
5歳からのボーディングスクール留学は、親にとっては不安が尽きず、また幼すぎて現実的ではないと考える方も多いようです。一方、真に世界に通用する国際人を育てたいと願う親は、すでにこうして実践し、海外の大学進学を視野に入れ世界で通用する社会人となるであろう子供たちを着々と育てています。
低年齢留学は、本人のアイデンティティの所在や日本語能力において、その是非が激しく議論されるテーマでもありますが、それらに関する若草さんなりの見解は著書『5歳6歳スイス留学大作戦』(かんぽう)で詳しく述べられています。
ボーディングスクール留学は富裕層だからこそ実現できる、究極の教育の選択肢です。質の高い教育という、一生散逸することのない貴重な財産を子供に持たせることができる、「無形の財産分与」なのかもしれません。子供の未来と教育の可能性に賭けて、このような選択肢を選ぶことも、1つの大きな成功への道と言えるのではないでしょうか。
若草まや(わかくさ・まや)
低年齢留学コラムニスト/医師。東京女子医大卒。結婚7年目にして生まれた我が子のために最良の教育を探し求めた結果、世界の名門ボーディングスクールに魅せられ、2001年、2人の娘をスイスに留学させる。7月15日より株式会社アルクのホームページ、スペースアルクにて新連載『若草まやの国際子育てリターンズ』を開始予定。