何億円積まれても転ばない金メダリストの意地

プロよりアマの方が強い

 アマ対プロは、よく論争になる。その際にプロ側はアマチュアに対して「パンチを当てるのがうまい」と評する事が多い。実際は「負けているのは当てるテクニックだけだ」というのが本音なのだ。どちらも自分の方が強いと言って譲らない。一般の認識としては、どちらでもいいようなものだが…。

 だが、あるプロ関係者は「世間はアマチュアをプロよりも下だと思っているが、実際はそんなことはありません。現在、プロで活躍している選手のほとんどが、アマチュアの上位レベルです」と指摘する。そして、村田選手こそが、最も強固な「アマチュアボクシング愛」を持つ選手だと、ボクシング界には知られている。

 プロボクシング界でもそこは理解しているようで、「単に大金を積むだけでプロに来ることはないと分かっています。だから、(21世紀最高のボクサー)マニー・パッキャオ選手とのマッチメークなど、よほどの材料を出さないと話すら聞いてもらえない、ということも分かっています。それでもないとは思いますが」(アマ関係者)。

 ちなみに東洋大学職員の給与は、19万2600円(本給)に加え、通勤、住宅、超過勤務など各種手当が付き、昇給年1回、賞与年3回となっている(職員の募集要項)。誰もがお金は欲しいが、お金ではないのだ。

 現在、村田選手に接触できたという情報はない。アマチュアボクシングの存在を世間に認知させた功績はあまりに大きく、アマ関係者は鼻高々だ。ただし、万に一つだけ、村田選手がプロに転向するとすれば、よほどアマチュアとしての力を見せつけたい相手と出会った時に限られるだけだろう。

 お金と誇り。どちらが上かは、言うまでもない。

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