シャープ100周年カウントダウン、皮肉な創業者の偉業

「首切りはしない」という誓い

 特別展の企画は、町田勝彦相談役が大阪商工会議所の副会頭であることから、「昨年から決まっていた」(大商関係者)という。

 特別展は、早川徳次の発明家、企業家としての偉大さを浮き彫りにしている。早川は、ベルトのサイズが簡単に調節できるバックル「徳尾錠」を発明し、その成功に甘んじていてはいけないと早川式繰出鉛筆(シャープペンシルの原型)を生み出し、その成功を関東大震災で失って大阪に移ってきた。

 「人に真似される商品をつくれ」は最も有名な早川の言葉。オンリーワン製品にこだわったことが、現在の社風に引きつがれた。

 もっとも、「好況下に不況の波に備える」という早川が残した言葉にそむき、巨大な堺工場を借入金でつくったこと、真似されるスピードが上がりすぎ、韓国・中国勢にあっという間に技術を盗まれてしまったことは、皮肉としかいいようがない。

 また、1950年代初頭、米国の財政金融引き締め政策で不況になり、経営危機に陥ったシャープでは、労組が自ら自主退社を募り始め危機から脱した。

 以降、早川徳次は、首切りはしないと誓ったとされるが、その誓いも、この101年目に破られ、12月15日付け退職の早期退職の募集が始まろうとしている。

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