男女の仲を深めるなら、初秋の鮎!?

島根県高津川の清流の天然もの


アユゴハン
 そして第3には、うんちく。女性はたいがい、食通と呼ばれるタイプに弱い。しかしそれは、飲食店を必要以上に網羅しているから良いというのはなく(かえって、軽薄に見られかねません)、食材にまつわるトリビアをさり気なく披露し、共に食べることが愉しい相手に惹かれるということなのだ。

 鮎はまさに、そんなトリビアの宝庫。「おなじ鮎でも、川の水質によって味がずいぶんと変わるよね。鮎釣りが解禁になったばかりの5~6月には、そんなに感じないけれど、水温が上がる夏場ともなると、川しだいでたちまち泥臭い味になるんだ」とか「鮎の天然と養殖の見分け方って、知ってる?」とか、なにかと語って「へえーーー!」と唸らせることが出来るのが「鮎」なのだ。


うるか茄子
 そんなこんなで、いいことだらけ(!)の秋鮎。せっかく食べるなら、都内でも超レアな天然鮎のフルコースが愉しめる「鮎正」がいい。島根県高津川の清流から直送される鮎は、水槽を積んだ軽トラックが川沿いを走り、釣り人ひとりひとりから受け取ったもの。

 その貴重な魚を、王道の塩焼きや素揚げ、洗いはもちろん、澄まし汁にしたり、煮浸しにしたり、酢の物にしたり……。鮎のはらわたを甘辛く煮詰め、油をたっぷりと吸い込んだ揚げ茄子と絡める「うるか茄子」も秀逸。この甘苦いタレをひと口、炊きたての白米に混ぜて頬張るのも、また美味、美味なのだ。〆はもちろん鮎ゴハン。ここまでくると、鮎の季節の終わりがさらに一段と心寂しくなり、来年もまた「一緒に食べに来たいね」と、微笑みあうことになるはず(?)だ。

 「鮎正」で天然鮎コースが味わえるのは、10月末まで。気になるお相手がいる方は、ぜひお早めに!!! (フードライター 内田麻紀)

 ◆「新ばし 鮎正」
東京都港区新橋4-21-14
電話:03(3431)7448
http://ayumasa.main.jp/

1 2
よかったらシェアしてね!
目次
閉じる