105億円使い倒した御曹司の心の闇(1)

 カジノの負けを返済するため、大王製紙の子会社から55億円以上を無担保で借り入れ、損害を与えたとして、会社法違反の罪に問われた井川意高(もとたか)被告(48)=求刑懲役6年=の判決公判が10日、東京地裁で行われる。大企業トップとして、「切れ者」との評価がある一方で、理性を失いカジノで散財するという理解に苦しむ大うつけぶり。あまりにも大きな代償を支払うことになる。

子会社から55億円を借り入れ

 「社会の公器である会社を財布として利用したことは悪質」。

 返済したとは言えど、55億円以上を会社から無担保で借り、それをカジノや飲食などで散財。『会社を財布』とは言い得て妙だが、井川意高(以下意高と略)は9月に東京地裁で行われた論告求刑公判で、検察官にそのように指摘された。

 起訴状によると、意高は昨年3~9月にかけて子会社7社から借り入れを受け、合計55億3000万円を本人名義の口座に振り込ませた。そのために、事業資金がショートしたために設備投資を凍結させた会社まで出てしまったほどだ。

 製紙業界3位グループにある大王製紙。およそ、その会長の立場にある者が取るとは思えぬ行動だけに、この事件が世間から注目を集めるのも当然だ。使かった金額はこれまで合計で105億円になるとされており、異常なものでもあった。途中で自制できなかったのか?

 「ギャンブル依存症」と医師から診断を受けた意高には、それは無理な話だった。

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