女子大生の75億円などNY不動産に集まる富裕層マネー

価格も合理的でボッタクリなし?


One57からの眺望のイメージ画
 実はリーマンショック後のコンドミニアム市場での平均価格推移が、他の全米主要都市が7割減などとなっている中で、マンハッタンだけが10%程度しか下がっていないのだ(S&P調べ)。もちろん、個別の取引で見ればもっと下げいているところもあるのだが、「腐っても鯛」ならぬ「腐ってもマンハッタン」ということなのだろう。

 東京都内のある不動産投資家は「海外不動産で最初に検討した、というか憧れたのがマンハッタンです。価格はバカ高いですが、建物のクオリティはハンパではないですし、あの立地のステータス、それに、マンハッタンのど真ん中で暮らすというライフスタイルも大きな魅力ですよね」と話す。

 海外投資に詳しい専門家は「米国は今後は厳しい税制になっていきますので、富裕層にとっては暮らしにくくなりますが、コンドミニアムなどは米国ではやはり法的にきちっと所有権が守られ、価格形成も合理的ですから資産としては安定しているでしょう。しかし、大幅なキャピタルゲインはあまり望まない方がいいと思います」という。

 もちろん、中国人は海外不動産は投資目的で探すことが多いのだが、移住先を探すことに躍起になっており、米国、豪州など安心できる生活基盤があるだけに居住地として魅力があり、中国人マネーが入ってきていることは価格高騰の大きな要素の一つだろう。

 日本国内の多くの不動産投資家が、昨年3月の東日本大震災、さらにはそれに伴う東京電力福島第一原発事故によって、恐怖を感じた。それが、海外不動産投資や取得に目を向けさせるきっかけを作った。数億円レベルの富裕層では難しいが、数十億円以上の資産規模の富裕層には人気が出るのもうなずける。

 米国は、財政の崖をめぐって、民主・共和両党の交渉が続いているが、富裕層減税の見直しについては、共和党も一定の譲歩姿勢を示しているだけに、今後の富裕層への税制は厳しくなることは確実視される。しかし、それでも法的に安定した米国、さらには経済、文化の中心という刺激的でステータスのある暮らしが約束されるNYは、やはり魅力的で、来年以降もマンハッタンの不動産市場は活況だろう。

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