関西電力、社員給与16%減も「まだ甘い」の声が

 関西電力が、来年4月に家庭向け12%弱、企業向けで19%強の値上げを申請し、その実現のために社員の給与を16%削減すると発表したが、関西企業からは「まだ甘い」(繊維30代社員)との声が出ている。平均年収は、削減しても664万円。従業員1000人以上の大企業の平均である約596万円を上回っているからだ。国際競争にさらされている他社には、関電は恵まれていると映るようだ。

「来月の手取りは2割以上減りそうだ」


関電本社(大阪市北区)
 11月26日、給与の削減幅を聞いた関電の40代社員はこうぼやいた。「前年の住民税を翌年払うことを考えると、来年の月々の手取りは、2割以上減りそう。子供が私学の中学に通っているし、住宅ローンもあるのに…」

 2011年度の関電社員の平均年収は790万円だった。いったん膨らんだ生活費を圧縮することは簡単ではない。「家族で支出を減らす相談をしたい」と話す。

 関電のコスト削減計画は、総額約1553億円という。人件費で345億円、燃料費などで486億円、設備関連で66億円、修繕費で287億円、寄付金・広報活動で370億円を削減する。これだけやっても支出額が収入額を上回るため値上げ申請したのに、それでも他社に「甘い」といわれる。なぜか。

 ある電機メーカー社員はこう話す。「たとえばシャープ。約2900人の早期退職、給与カットのほかに、仕事のやり方を根本から見直すためにコンサルに入ってもらって血まなこになっている。関電にそこまでの必死さは感じられない」

 今回関電は、人員計画については定期採用の抑制しか発表していない。

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