100億円負けた伝説の相場師に残る2つの闘い

会社と妻が訴訟合戦に


故・寺町博さん邸
 乾繭の相場で100億円の損を出したことは、寺町さんのよく知られているエピソードの一つである。ボラティリティの高い商品先物にも手を出したのだが、その先物会社のオーナーに収まるあたりはスケールが大きい話だ。ただ、業界関係者の間では同社の経営が厳しいことは知られていた。

 「業績が悪いこともあるが、もともと寺町家とプロパー経営陣の関係が良くないこともありましたが、奥さんの金遣いの荒さが指摘されてもいましたから」。

 Fフーチャーズが経営難の中で、日本商品委託者保護基金が、寺町さんの妻の役員報酬、寺町家のステーキハウスでの飲食代と交際費などをそれぞれ切り詰めるように指導を行っている。

 寺町さんが病床に伏した中で、今年6月に行われた定時株主総会は、後に尾を引くものとなった。

 筆頭株主で会長の寺町さんが、妻の役員解任に賛成するなどしたのだが、これらを不服として、妻が会社を相手取って東京地裁に提訴している。また、会社側も妻を相手取って別件で提訴するという、訴訟合戦に突入している。

 2つの闘いは、皮肉なことに故人の生前の存在感や影響力の強さをそのまま表すものとなっている。

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