創業時から「ニッチよりグローバル」なテラモーターズ

 「ベンチャー企業は先行企業がまだ手をつけてないニッチな市場を狙うもの」──。

 ベンチャー企業の定石ともいうべき戦略であるが、2010年4月にテラモーターズを起業した徳重徹社長は違った。「ボーン・グローバル・ベンチャー」を掲げたのだ。その狙いについて徳重社長は「設立当初からグローバル市場に切り込むことで、これまでのベンチャー企業にない新しい成長スタイルを描き出したかったのです」と語る。そして徳重社長が目を付けたのが電動バイクだった。

電動自動車より新規参入が容易

 現在、ガソリンエンジンを搭載したバイクの世界市場は推計5500万台で、特に経済成長著しい新興国で爆発的に需要が拡大している。しかし、排ガスによる環境汚染など社会問題も引き起こし、四輪車と同じように電動へのシフトが注目されつつある。

 実際に中国では電動バイクの市場が年間250万台規模に膨らんでいる。それに電動バイクの場合、電動自動車と比べてパーツの数も少なく、水平分業するにしてもより新規参入がしやすい。


シード(SEED)のシルバー
 そして、同年10月に同社がまず国内で発売したのが「シード」だった。排気量50CCの原付バイクに相当するスクータータイプで、車両本体の価格は電動アシスト自転車よりも安い9万9800円だ。

 気になる充電についてだが、「買い物や通勤に使われることの多いスクーターの半数以上は、1カ月当たりの平均走行距離が100キロ未満です。シードは1回の充電で約40キロの走行が可能なので、月に3回も充電すれば十分です。1回当たりの充電料金も30円で済みます」と徳重社長はいう。

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