昨年2012年、最も高いリターンを出したヘッジファンドのランキングが、ブルームバーグマーケッツ誌から発表され、1位にはモーゲージ裁定取引のメタキャピタルマネジメントが輝いた。創業者のディーパック・ナルマ氏は、サブプライムローン関連証券の空売りで一世を風靡したジョン・ポールソン氏に先駆けて同じ取引を行ったが、時代の波に乗りきれず挫折。しかし、2008年からは快進撃を始め、4年で500%以上の累計リターンを記録。ポールソンに成り損ねた男が、ポールソンを超えた。
住宅バブル崩壊は読み切っていた
モーゲージ関連証券を戦略とするヘッジファンドが上位を占め、上位10のうち4つを占めた。特に1位に輝いたメタキャピタルマネジメントは一度、死に絶えるほどの苦境に陥ったが、見事に復活して昨年1年間は37.8%のリターンをたたき出すにいたった。
社名 12年 11年 戦略
1 メタキャピタルマネジメント 37.8% 23.6% モーゲージ裁定
2 パインリバーキャピタル 32.9% 4.8% モーゲージ裁定
3 CQS 28.9% -10.4% マルチ
4 パインリバーキャピタル 28.0% 7.2% モーゲージ裁定
5 オデイアセットマネジメント 24.1% -20.3% マクロ
6 マラソンアセットマネジメント 24.0% -4.2% モーゲージ裁定
6 アパルーサマネジメント 24.0% -3.5% マルチ
8 BTGパクチュアル 23.1% 3.4% マクロ
9 サードポイント 22.1% -2.3% マルチ
10 オメガアドバイザーズ 21.7% -1.4% LS
※2、4位は同会社の別ファンド
2000年以降の米国の住宅バブルで、ハイリスクなモーゲージ証券が数多く組成された。07年には関連証券の格下げが相次ぎ、投資家が解約に走ったために、ヘッジファンドも売りに迫られて、バブルは崩壊した。その状況を見越してモーゲージ会社などのCDS(債務担保証券)を買いあさっていたのがポールソン氏だった。
わずか1年間で1兆円以上の利益を出したとされる、史上最大の取引とも言われる。しかし、その陰にはレジェンドになれなかったヘッジファンドマネージャーもいた。それが、メタキャピタルマネジメントのディーパック・ナルマ氏だった。