「1億円は客じゃない」【スイス資産家夫婦殺害事件】

法律は守らなくてもよい

 「見つからなければいいんだよ」

 過去、霜見さんが顧客に対して、法律違反に対してそのような考え方を話したのだという。取引内容など詳細については明らかにできないというものの、プライベートバンカーとしての姿勢が垣間見えてくる言葉だ。

 96年、新日本証券から独立した後に、スイスのプライベートバンクの東京支店を開設。実はこの当時は、「かなり真っ当な投資案件を勧めていたそうです。口座開設や、ヘッジファンドなども紹介して、随分と利益をあげたようですが、上司の方と喧嘩別れになったのも、何か霜見さんの考え方に変化があったのかもしれません」(関係者)という。

 かなりのリスクテーカーで、しかも上昇志向が強い霜見さんは、さらなる資金集めとリスキーな投資に入っていったようだ。

 イベントドリブンで新株発行権付き社債を市場よりも十数%安い価格で引き受けて、株を空売りするという方法で莫大な利益をあげるなどしていたという情報もある。

 また、日本国内では、「ジャパンオポチュニティーファンド」を立ち上げ、07年、11年にクロニクルに投資している。また、日本の地方大都市の不動産運用なども行ったが、2008年のリーマンショックでは、さすがに大打撃を受けた模様だ。

 それでも、2匹の犬に大間産マグロを与えたり、国内外では常に高級ホテルのスイートを使うなどの、絵に描いたような派手な生活はキープしていた。

 実は、これも事件の引き金になったのではないか、との見方もある。

1 2 3
よかったらシェアしてね!
目次
閉じる