パナソニックが3月末、中村邦夫相談役が社長時代にブランドスローガンとした「ideas for life」と、大坪文雄会長が社長時代に打ち出した「eco ideas」のキャッチコピーを廃止する。そして4月1日、中村社長時代にやめた、製品ごとに生産から販売までを統合する「事業部制」を復活させる。2年で1兆5000億円もの赤字を計上するパナの津賀一宏社長は、前社長、前々社長時代を否定することで、復活の道を探ろうとしているのか――。
中村体制の遺産との決別
「スローガンと環境キャッチコピーの廃止は、社内で広まっています。津賀社長は中村相談役に決別する覚悟なのでしょう」。40代のあるパナ男性社員はこう話す。
社章の「Panasonic」と緑の「eco ideas」バッジを背広襟につけることは義務で、中村相談役は会長だったとき、どちらかのバッジが欠けている社員を見つけると激怒したとも伝えられている。それだけに、この二つのフレーズを廃止することは、中村氏への“決別宣言”に見えるのだ。
テレビCMで必ず登場するこのスローガンは、中村氏がトップだった2002年、北米でのブランドキャンペーンで使われ始めた。翌 2003年5月、グローバルブランドを「Panasonic」へ統一したのを機に、全社のスローガンに採用された。