「(ビルを)売っているという話は聞いていましたので、銀座もいつ売るのかと思って見ていました。ビル経営にもう情熱を持っていなかったのかもしれません」
買ったビルはボロボロに
支払いをのがれたとして、東京地検特捜部に逮捕された。
バブル期には、「銀座の不動産王」とも呼ばれた「丸源ビル」のオーナー、川本源司郎容疑者(81)。3年間で売上約29億円を隠ぺいし、法人税約8億6000万円の支払いを逃れた
として、法人税法違反の疑いで東京地検特捜部に逮捕された。
福岡の呉服屋に生まれ、60年代から商業ビルの買収に乗り出す。銀座だけで8棟ものビルを所有し、最盛期には約6000室を貸していた。総資産は1000億円を優に超えていただろうとも言われた。映画「地平線」(1984年、新藤兼人監督)に8億円をキャッシュで出したエピソードは当時としては、今でも語り継がれているほどだ。また、ハワイで最も有名な高級住宅街カハラにも数十億円の邸宅を購入したり、サラ地を購入したり栄華を極めた。
だが、ビルはボロボロ、ハワイの土地も吹きさらしで、周囲からの評判は決して良くはない。銀座のビルの一つには、消防庁からの警告文書が張り出されている。あまりにも管理が杜撰であり再三の警告にも関わらず改善することもなかったそうだ。まるで、買うことにしか興味がない、といった感じだ。