大手音楽事務所「ビーイング」グループと、創業者・長戸大幸氏が、東京、大阪などの国税局から2012年までの5年間で計約20億円の所得隠しを指摘されていたことがわかった。グループ会社の株式売却益、アーティスト契約などの不適切な会計処理などを行っていたという。目をつけられていたのは、不動産投資を盛り込んだ企業へと変貌を遂げていたことも見逃せない。
大阪市の不動産事業で実績
20億円のうち10億円程度は、仮装隠蔽(いんぺい)を伴うとされ、重加算税・追徴額は約3億円に上る模様だ。
同社はB’z、ZARDなどをはじめ人気アーティストを数多く抱え、一時代を築いた巨大音楽グループ。しかし、現在は大御所ユニットとなったB’zの一本足が続いている状態だ。
ところが、12年3月期の売上高は約110億円で、音楽事務所としては破格の売上を誇っているのだ。
大阪市西区のアメリカ村周辺から北堀江の一帯に、多数の不動産や駐車場をグループ会社が保有。大阪市の堀江一帯の再開発にも乗って、今から考えれば街の様子を大きく変えたのも同社の功績の一つでもある。
また、同市福島区の大阪大学付属病院跡地には、高級賃貸マンションのリバーレジデンス堂島、さらには音楽ホールの堂島リバーフォーラムを取得するなど、とても音楽事務所とは思えないくらいのバイイングパワーを誇示している(所有はグループ会社)。保有不動産は100件以上ともいう。
その理由として「90年代の稼ぎはハンパではありませんからね。堀江を歩くと、あそこの不動産ばっかりという一角もあって、本当、羨ましいです」と関西の芸能関係者。
ちなみに、この関係者が挙げる羨ましい関西の事務所は、キャスティングと営業が強い吉本興業と、保有資産を持つビーイングだという。フトコロの厳しい事務所とは一線を画していたようだ。