「土用の丑の日」30代はうなぎを食べないのか

 「そんな込む日にわざわざ食べに行くわけがない」(30代、会社役員)といいつつ、「その日に食べないと食べるきっかけがなくなることは確か。行きつけというような店も持っていないし、昔よりも食べるのは確実に減った」ともいう。

 今年は食べたというが、それでも丑の日よりも前。「値段がどうというより、将来的に食べられなくなる可能性も考えて」という。やはり「うまいウナギ」を食べたいという気持ちがあるのは間違いないようだ。

 うなぎは調理の時間がかかる上に、行列に並んでまで食べるということを、多忙な人がすることはない。そのあたりにも一つの原因はありそうだ。つまりちょっとした「ひと手間」が遠ざけているのかもしれない。

 さて、昼の相場だが、老舗店でこの春先までは大体2000円くらいからというところが多かった。ただし、この夏には1000円値上げを行うところもあったり、店の厳しい状況がわかる。また、夜の相場も同様だという。かつては「会社名義の領収書で食べる人が多かった」(港区の老舗店)というが、現在ではそれも少ないという。来店客はやはり年配が中心だといい、また、30代のグループ、若年層のグループなどという来店はあまりないそうだ。

 川端康成、北大路魯山人ら多くの文化人に愛された神奈川県鎌倉市の老舗店「浅羽屋」が今年1月に閉店するなど、地方では東京以上に客足の減少に悩むところが出てきているのもうなづける。

 水産庁によると、日本国内の天然の漁獲量は、10年前の2003年の589トンからは約4分の1になり、2012年は169トン。養殖の生産量も1万377トンと年々減少している。と同時に、中国、台湾からの輸入量(加工、天然とも)減少しており、今後は希少な食べ物となる可能性はある。

 時間と機会があれば食べたい、というのが本音の本音かもしれない。

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