税務当局が狙うルクセンブルクのパテントボックス

 ルクセンブルクとはかつては、ファンドなどの籍を置くなど金融業界では知られた存在だが、現在は知的財産権のオフショアとしての存在感を示している。

 同国は、知的財産権の基準の策定には積極的であり、その分野に関する条約や会議などにはすべて参加しており、知的財産管理においては理想的な環境になっている、とされる。また、2008年1月からは、知的財産の売却益に対するキャピタルゲインの80%を免税する措置を実施したり、所得税の名目税率を下げるなど各種の優遇を行っていることでも知られる。

 パテントボックスといい、知的財産に絡む所得による利益について所得控除や低税率を導入する優遇政策のことを指す。実際欧州各国が税収確保のために競いあっているような状況で、Pwcの資料によると名目税率は次のようになる。

・ベルギー  6.8%
・フランス  15.0%
・ハンガリー 9.5%
・ルクセンブルク 5.76%
・オランダ  5.0%
・スペイン  15.0%
・イギリス  10.0%

 そのルクセンブルクだが、欧州各国の中でも5.76%と低い部類に入り、納税者にとって有利な条件であることがわかる。

 あるいは、ルクセンブルクではないものの、サッカーのリオネル・メッシ選手も知的財産権の取り扱いを問題の一つとされているように、今後も同様のことが税務当局と納税者との間で起きることだろう。

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