変わる一族支配
昨年、福証上場の大手スーパー「マルキョウ」で、斉田弥太郎会長が亡くなり、キミヨ夫人が相続。普段は出来高も少ない同社株だが、相続決定により株価は暴落した。市場はM&Aを密かに期待していたのだが、結局普通の相続に終わったことで株価が落ち着いたわけだ。今年に入ってから、私鉄大手の西日本鉄道と資本提携を行うなどの動きがあった。
小売業界はM&Aが盛んに行われているが、ゼネコン業界についても今後はどう転ぶかわからない。大手は良いが準大手などが将来を見越しての資本提携の可能性もあると見る向きはある。
前出の業界関係者は「死に体だったところに、2020年、東京五輪決定で公共工事需要が来たのですが、あくまでも一時的なものだと心の中では皆、思っています。その先のビジョンのあるトップがいるかと言われると、いません。今後は(業界再編も)ないこともないでしょう」という。
さらに「ゼネコンの受注というのは、基本的には過去実績で決まります。さらに、長年の付き合いが大切であり、創業家という縁が関係してくると言われています。また、創業家支配が続くのは、だいたいどこでも、『中興の祖』と言われるような人がいて、その流れが続いているということもあります。ただ、もう時代があまりにも変わりすぎています」と、不安を口にする。
ゼネコンと言えば創業者支配が最も長く続く業界だが、400年以上続いた一族支配の代表格の竹中工務店も脱創業家になった。
守二氏が死去した6月以降、株価はジリジリと不気味な上昇を続けている。途中で五輪決定の要素もあるが、マルキョウの際のように何らかの期待を持っているかのようだ。戸田建設の相続は色々な方面から注目されている。