無配転落で関係を再考する東京都、大阪市
東京電力や関西電力の株主総会で、東京都、大阪市の各首長が質問に立ったことは記憶に新しい。一つのきっかけが、2011年の東電福島第一原発事故による原発ストップ、さらに業績の悪化によって無配に転落したことにあるだろう。
一般会計予算の規模が2664億円(25年度)の静岡市にとっては、多大な貢献をしてきたことは事実だろう。ただ、こうした例も多く、全国の電力会社は自治体が大株主であるケースが多々あるのだ。各社が公表しているベースで見ると、次のようになる。
北海道電力 地方公共団体 0.1%
東北電力 仙台市 519万株 1.03%
東京電力 東京都 4276万株 1.20%
関西電力 大阪市 8374万株 8.9%
神戸市 2735万株 2.9%
中部電力 政府・地方公共団体29人 470万株 0.62%
北陸電力 富山県 1127万株 5.36%
中国電力 山口県 3400万株 9.16%
四国電力 高知県 623万株 2.79%
九州電力 政府・地方公共団体 0.9%
沖縄電力 沖縄県知事 205万株 11.70%
ちなみに、かつて紙クズになった日本航空(JAL)株の例もある。再上場を果たしたものの、その前に100%減資という痛い目に遭った。東電などは100%減資にならずに済んだから良かったものの、最悪のケースも想定しておくに越したことはない。
JALの例では、45万8000株を保有していた岡山県が1億5000万円を喪失した。北海道も同規模の44万5000株、網走市は上場廃止前に何とか売り抜けたものの、それでも損切りだ。
山口県も中国電力株の一部を廃却するなど行動に移す自治体もあるが、それぞれの立場、利害や独自の条例などがあり、事情は異なる。静岡市の場合は中部電力の配当金は「電気事業経営記念基金」と指定され、この運用に関する条例が定められている。