3億円よりも「株主優待」、桐谷広人さんの投資

株主優待合わせて利回りは6%

 桐谷さんの現在の配当利回りは優待を合わせて6%程度だという。株式の時価から考えればかなりのものになるだろう。

 優待券やギフト券を入れる箱、さらには、持ち歩くカードケースなどもにはギッシリとそれらが詰まっている。優待には投資家の間でも賛否両論があるが、それではなぜ、そんなに株主優待が良いのだろうか。

 「信用取引もやりましたが、何年かに1回は暴落します。だから優待に切り替えたのですが、株価の値上がりを狙うのは狩猟するようなもの。配当や優待は農業のようなもの。肥沃な土地に(配当や優待が)実るのを待つのが自分には合っています」


部屋に積まれた段ボールの中からは優待が
 ちなみに、食品メーカーのカゴメは当初は約6500人だった株主数が、株主優待をスタートしてから現在では約17万人にも増加した。100株で1000円相当の商品、1000株で3000円相当の商品がそれぞれ年2回届く。配当利回り自体は現在、1%少々と低いのだが、なぜか人気なのだ。それでも株主は喜び、そして会社側にとっても利益につながる好例でもある。

 「株主優待は会社にとってもメリットがあるんです。例えば、お米を優待にしている会社も多いのですが、主婦はお米を欲しがりますから。同じ送るにしても、80円で送れるクオカードと比べてもたいへんなはずなのですが」

 桐谷さんの保有株は現在、株価は値上がりをしているものの、優待を持っていることで、「愛着もあるので売れない」ともいう。それが、現在でも(優待目的で)約400銘柄を保有している理由の一つでもある。

 そして、優待投資家となったことが、棋士時代にも経験できなかったほどの脚光を浴びる瞬間を訪れさせることになる。

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