6434人が亡くなった阪神淡路大震災の発生から今年で、19回目の1月17日を迎えた。多くの建物や家屋が倒壊したことで、建物の旧耐震基準と新耐震基準が注目されるきっかけとなった。旧耐震基準の物件が多く倒壊しており、中には1億円の損害賠償を支払うことになった例も出た。不動産投資家
の最大のリスクである災害で、不幸なことにならないためにも、この1月17日を機に、不動産投資家はもう一度、教訓を思い出してもいいだろう。
耐震基準だが、結論としては旧耐震基準だからダメで、新耐震基準だから大丈夫とは言い切れないというのが、不動産投資家や不動産業者の言い分だ。もちろん、それは正しいだろう。
施行年 耐久震度
旧耐震基準 昭和56年以前 震度5強、
新耐震基準 昭和57年以降 震度6強
二つを比べた場合には一般的に新耐震基準の方が、強度が高いということができる。ただし、これが唯一の絶対的な尺度
ということではない。
ある業界関係者は「旧耐震基準だから、すべてダメというわけではありません。最低レベルの基準が一定していないというだけで、しっかりした不動産も実はあります」と話すほどだ。
阪神淡路大震災では、倒壊した収益物件や家屋は、文化住宅などの旧耐震基準のものが多かった。以下は、阪神淡路大震災と東日本大震災の住宅や不動産の被害の状況だ。
◆阪神淡路大震災(関西圏)
大破 中破 小破 軽微・損傷無
昭和47~56年 2.32% 2.71% 8.72% 86.25%
昭和57年~ 0.32% 1.33% 5.61% 92.74%
◆東日本大震災(東北6県+関東1都6県)
大破 中破 小破 軽微・損傷無
昭和47~56年 0% 0.13% 2.71% 97.16%
昭和57年~ 0% 0.09% 2.52% 97.39%
(高層住宅管理業協会調べ)
阪神淡路では、旧耐震基準で比較的に大きな被害が出ていることがわかる。
ここでは示していないが、特に昭和46年以前ではこれよりも大きな被害が出ている。
これを契機に、旧耐震基準の物件の補強が進んでいったという背景もある。
さて万が一の場合に、「想定外」の言い訳で逃げ切ることができるかだが、それは無理なようだ。