3 いつやるか
真央選手は、母・匡子さんが宝塚音楽学校に入れようと考えていたことはよく知られている。名前は、元男役トップの大地真央さんから取っている。ただ、フィギュアはその前の準備としての習い事だったのだが、日本フィギュア史上でもまれにみる才能の持ち主だったことが、フィギュアを続けるきっかけになった。
また、フィギュア関係者によると、気が早い親は、子供が1回滑っただけで「うちの子は才能がありますか」と、質問してくるという。その数は、意外と多いそうだ。日本は、男女ともに世界屈指のフィギュアスケート王国になったのだから、「うちの子も」と色気を持つのも仕方がない。ただ、小学校に入るか入らないか、その程度で子供の将来など初見でわかるはずがないのは当然だ。
それでも、子供の成長には個人差があるために、毎日の成長を見守ってやることが大事だ。いつ始めるかよりも、続けることの方が大切だ。
4 小4の壁
女の子は小学校4、5年生くらいで第二次成長期に入る。心身が女性らしくなっていくのだが、競技として上を目指すか習い事の一つとして考えるか選択する最初の時期でもあるという。また、子供の興味が他へ移る場合もあるという。そんな時は、親が人生の先輩として、子供をベターな選択に導いてやれるかどうかに掛っている。
一方で、この段階で複数の3回転ジャンプを習得しており、競技の道を目指す場合には、毎日、アメとムチを使い分けてフィギュアを続けさせることが大切だ。
「トップレベルを目指すには、小学生でも1日、4、5時間くらいの練習時間を確保したい」(関係者)。さらに、何種類もの3回転ジャンプを飛んでいれば、体に掛る負担は相当なものになる。ケガで才能の道を閉ざしてしまう子供もいる。長年続けていくには、ケアーもしっかりとしてやらなければならない。
また、上に進むには、嫌が上でも、「バッジテスト」(初級~8級)で7級に合格しなければ、全日本選手権への出場資格を得ることはできないし、世界は遠のく。上達が止まり、上の級に合格できないでリンクを去る人もいるが、それは決して恥ずかしいことではない。別の道もある。
また、都市圏であれば、中学受験を考える時期に入る。素質がある子でも、受験のため塾通いを優先する場合もあるそうだ。有名私立中学に行くのであれば、4、5年生から塾通いをしなければ、合格はおぼつかない。塾とスケートの両立は難しい。
とにかく、どういう選択をしても、後悔だけはしないようにしたいものだ。