「200年に1度の水害」。長い間ずっと大規模な水害の可能性が言われ続け、東京都など首都圏では各自治体が様々な防災計画を進めていた。それらとは意識の隔たりが少しはあった東京都民も最近、日本列島各地で起こる災害を見るにつけ、意識せざるを得ない状況になっているのではないだろうか。富裕層が多く住む東京・港区の状況、さらには、気になる地価の影響などについて見ておくことにする。
土砂災害の危険個所118カ所、麻布十番駅ホームは冠水も
まず、土砂災害とは「土石流」「地すべり」「がけ崩れ」の三つに分類される。そうした災害が起きる可能性のある所を急傾斜地危険個所と言うが、東京都内には3718カ所も存在する。そのうち23区内には592カ所あり、さらにそのうちの118カ所が港区に集中しているという実態は見逃すわけにはいかない。
・がけ地の傾斜度が30度以上
・がけ地の高さが5メートル以上
・被害想定地域内に人家等が存在する
この3要素を満たすものが急傾斜危険個所だが、地盤の強弱はもちろんだが、降雨量が一時的に集中することで災害が起きる可能性が高くなる。
また、土砂災害だけではなく、2004年秋の台風で、東京メトロ麻布十番駅のホームが冠水したこともあった。そのため、東京都は地下に、地下貯水池など調整施設を整備しているところだ。
自治体は防災イコール地震という想定を拡大して、降雨による土砂災害や浸水など水に関する被害を想定して対策にあたっている。
その一つとして作成されたものに「急傾斜地危険箇所地図」「港区浸水ハザードマップ」がある。