全米6位の公的年金もヘッジファンド投資を減額へ

 米最大の公務員年金基金のカルパース(Calpers、カリフォルニア州職員退職年金基金)がヘッジファンドへの投資40億ドル分をすべて引き揚げることを発表し、ヘッジファンドの大口顧客である公的年金基金への影響を危惧される中で、全米6位の「テキサス州教職員退職年金基金」が、ヘッジファンドへの投資配分を減少させることがわかった。

 ブルームバーグが伝えたもので、理由は全体の年利8%を実現するためのポートフォリオを組むためだという。テキサス州教職員退職年金基金は全米6位の規模を誇る基金で、運用資産総額は1124億4300万ドルとなっている。1937年に設立され、75年続いている。

1 カリフォルニア州職員退職年金基金   2447億5400万ドル
2 カリフォルニア州教職員退職年金基金  1557億3900万ドル
3 ニューヨーク州職員退職年金      1501億1000万ドル
4 フロリダ州運用管理理事会       1343億4500万ドル
5 ニューヨーク市退職基金        1320億7100万ドル
6 テキサス州教職員退職年金基金     1124億4300万ドル
7 ニューヨーク市公務員年金基金     885億6100万ドル
8 ウィスコンシン州投資委員会      863億9900万ドル
9 ノースカロライナ州退職基金      839億7600万ドル
10 オハイオ州公務員年金基金       796億1500万ドル
※各年金の資料などから作成

 同年金基金によると、アセットアロケーションと、ここ数年のパフォーマンスは次の通り。
◆主なアセットアロケーション
上場株式 49.7%
PE   12.3%
フィクスドインカム 14.3%
ヘッジファンド   3.6%
インフレリンク債券 5.1%
不動産など13.6%

◆年率リターン
2007年 14.4%
2008年 -4.5%
2009年 -13.06%
2010年 10.72%
2011年 15.5%
2012年 7.6%
2013年 9.0%

 正式に最高投資責任者となったテッド・エリオプラス氏は25日にCNBCNI出演し
「パフォーマンスではない。コストと複雑さだ」と改めてその理由を語っている。

 元々は2008年のリーマンショックで打撃を受けた基金も多く、それをカバーする意味でも分散のためにヘッジファンドを取り入れるようになった基金が多い。だが、これも時代の変化なのだろうか。リターンと手数料+成功報酬の料金体系との兼ね合いから、期間投資家からの手数料の値下げ圧力は強くなっている。今後さらに減額を検討する基金は出てくる流れは避けられないだろう。

【参考記事】
いまさら聞けない「ヘッジファンド」って何?

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