海外富裕層がスイスから離脱も? 「一括税」廃止の国民投票

 スイスで「一括税」という制度をめぐって、30日に国民投票が行われる。これは海外の富裕層がスイスに住むにあたっての税制優遇の制度である。つまり、海外の収入は課税されずに、スイス国内での生活費用をベースに算出される。統計では最大で5625人いると見られるが、投票の結果次第によっては、海外脱出により、貴重な税源を失う可能性すらある。

 まず、この一括税という制度だが、歴史は意外と古く、1862年に、ヴォー州で最初に採用された。海外富裕層の場合は多国籍で収入があるケースも多く、その収入を一元化できるという意味で一括税という名前となっている。

・スイス国籍ではない外国人
・10年間スイスを離れていて帰ってきた外国人

 こうした人たちが対象であり、ミハエル・シューマッハ氏らスポーツ選手やアーティストらセレブたちも多数いる。生活費を基準にして納税する制度で、賃貸住まいなら賃貸料の5倍納税すれば良い。ホテル住まいならば宿泊費の2倍となっている。これが、現在では、KPMGの調査結果によると、現在は5625人にまで増えている。

 ちなみに各州の2012年の人数とその納税額は次のとおり(単位:スイスフラン)。
ヴォー   1396人  2億780万
ヴァレー  1300人  8250万
ティチーノ 877人  7200万
ジュネーヴ 710人  1億5570万
グラウビュンデン 268人 4910万
ベルン   211人   2720万
ルツェルン 130人   1820万
ツーク   110人   1860万
トゥールガウ104人   870万
シュヴィーツ92人   1503万
ニトヴァルデン準 84人 820万
フリブール 80人   360万
ザンクトガレン 73人 946万
ヌーシャテル  39人 391万
オプヴァルデン準 38人 540万
ジュラ    22人   130万
アッペンツェルインナーローデン準  21人 158万
アッペンツェルアウサーローデン準  19人 128万
アールガウ  16人  147万
バーゼルシュタット準 16人  215万
バーゼルラント準   10人  94万
ウーリ  9人 82万
グラールス  不明

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