国税庁の目も
百貨店で買い物をしなければならない理由が見出しにくくなってきた昨今、それは富裕層でも同じことだろう。そこであえて外商を使う意味も同様に見出しにくくなってきたのではないか。
深い人間関係が生じることによって、付き合いで担当者の成績のために余計なものも購入するなど、持ちつ持たれつの関係が生まれる。頻繁な訪問がある外商との付き合いは、ゆるいつながりの人間関係を好む若い層にはやはり不評だということか。
前出の資産家の30代男性によれば、外商を利用しなくても、7%など高いポイントが付与され駐車場が無料の百貨店もあるなど、用途に合わせて使いたいように選ぶ方が若い層には合っているようだ。また、インターネット上での買い物に慣れ親しんでいるということも大きい。
店頭やカタログにないものまで揃えてくれるという外商の良さはもちろん、見逃せない。だが、こうした点で外商利用に一つの不安を抱く富裕層がいるのも確かだ。それは国税庁の目だ。
国税庁
富裕層、海外、無申告の三大要素は、国税庁が近年、最もにらみを利かせているところ。外商を使うメリットも大きいが、今はそれだけデメリットを考える富裕層も増えてきてもいる。
今いる若手の富裕層顧客を最低限囲い込むためにも、外商のインターネット化は今後は進んでいくかもしれない。