銀座という場所
携帯電話で話す銀座のホステス
ただ、里恵さんには以前から銀座の街で気になることがあった。
ホステスの中でも里恵さんの存在は相当に珍しい。いや皆無に等しい。だからこそ大きな話題となっているのだが、障害者のお客さんを見かけないのだという。日本の障害者は人口の約5%で、約600万人とも言われている。銀座にいても全然、不思議ではない。里恵さんは「銀座では障害者のお客様を見たことがありません」と残念そうな表情を浮かべた。
「障害者の人は引っ込み思案で、遠慮をしているのかも」
著書「筆談ホステス」を出すきっかけとなったのも、少しでも障害者の励みになってくれればという理由からだった。障害者の人も来やすい店。里恵さんの頭の中には、青森時代からずっとあった。その時の出会いが里恵さんの今の目標となっている。