大塚家具の創業会長の大塚勝久氏(71)、社長で長女の久美子氏(47)による委任状争奪戦が繰り広げられている。表では経営方針の違いをめぐっているように見えて、裏では相続面の争いの側面も強く、大塚家具と創業家の資産管理会社「ききょう企画」を通じた、株式約15億円分の「返せ」「返さない」の戦いも続いている。経営というオブラートで包んでいない相続の争い方が、一族の内情が見えてくる。
インサイダー取引~株式譲渡
企業のお家騒動は珍しくないので、実際にはネタにならないことの方が多い。しかし、大塚家具の一件は経済誌、一般紙だけではなく、TVのワイドショーでも取り上げられているほどになっている。
まず、両者の争いに至るまでの経緯を簡単に年表にした。
2004年 【久美子】大塚家具取締役退任 ※以下敬称略
2007年 【大塚家具】インサイダーで課徴金命令
2008年 【大塚家具、ききょう企画】第1回無担保社債を発行
2009年 【久美子】大塚家具社長就任
2013年 【勝久】ききょう企画を提訴(社債返還訴訟)
2014年 【ききょう企画】母・千代子、長男・勝之が取締役を解任される
【久美子】大塚家具社長退任
2015年 【久美子】社長復帰
【勝久】久美子を提訴(株式返還訴訟)
両者がプロキシーファイトを展開
※ききょう企画=大塚家の資産管理会社(現社長は久美子氏)
お互いが争うようになったのは、2007年のインサイダー取引(継続的な自社株買いと増配のタイミングが一致したことが、インサイダーに該当すると判断された)が直接のきっかけ。これを機に、一時は大塚家具を離れた久美子氏が復帰をすることになった。その条件としてガバナンス強化のために、自社株式の相続を含めた提案を出す。それが現在、表の経営と裏の相続と合わせたもめごとになっているのだ。