プール付きタワーマンション。かつては億超えの住戸があるタワー物件にはほぼ標準装備されていたかのような感さえあるが、経費削減を徹底する現代ではむしろ否定される存在にもなっている。それもそのはずであまり使わなくなるのに、年間3000万円前後の経費がかかるのが相場だという。タワマン住民たちは、プールとどう付き合っているのか。
1世帯あたり年間3万円の負担?
「コストを考えたら、もうプールを付ける時代ではありません」。
山の手の某タワーマンション売り場の大手デベロッパー担当者がそう説明していた。リーマンショック前にはタワーマンションの格を表すようなオプション施設の一つだったプールだが、それらはすでに隔世の感がある。
例えば港区だけでも、六本木ヒルズレジデンス、虎ノ門ヒルズレジデンス、泉ガーデンレジデンス、元麻布ヒルズフォレストタワー、アークヒルズ仙石山レジデンス、ワールドシティタワーズなどプール付きタワーマンションはズラりと出てくる。また、湾岸部でも、ザ・東京タワーズミッドタワー、ブリリア有明スカイタワー、ブリリアマーレ有明タワーをはじめ、数多い。
いくら、アベノミクスで富裕層は資産が増えたとしても、プールは気になるということか。港区内のあるプール(20メートル×3レーン)付き超高層タワーマンションでは、大手企業勤務の住民(40代男性)によると、年間の維持管理費用が3000万円前後になるという。タワマン住民たちは、金食い設備とどのように付き合っているのか。
超高層タワーマンションとなれば、500戸、1000戸などという大規模なコミュニティとなるため、毎月管理組合に溜まっていく管理費、修繕積立費は相当な金額となり、年間で1億円を超えることもザラだ。出費が少なければ少ないほど、潤沢な資金が手元に残ることになる。
仮に1000戸とすれば、1世帯あたりの年間のプールの負担額は平均して3万円程度。500戸とすれば、同じく6万円程度の額にすぎないのだが、プールについては管理組合の総会では意外に喧々諤々と議論が繰り広げられているのだともいう。