主要国富裕層人口の増加止まる

 2014年の世界の富裕層人口は1460万人となったが、過去5年間で伸び率は最低の6.7%となった。日本でも2013年の22.3%に対して、5%と4分の1以下に低迷し、新富裕層誕の拡大期は終了し、過渡期に入ったかに見える。その一方、富裕層の中で人口1%にあたる資産30億円超の超富裕層の資産が35%を占めるまでにいたった。キャップジェミニ&RBSによるワールドウエルスリポート2015の調査結果で明らかになった。また、日本の富裕層も株式保有比率が過去最大になっている点で、為替相場を反映して現預金を持つリスクを考えてか、リスク性向が高まっているようだ。
 
 最近5年間は、年率2ケタの割合で富裕層人口が増加してきたが、昨年2014年は明らかに鈍化した。2014年は、速報値6.7%と1ケタ成長に転落(2013年は14.7%)し、上位10カ国の中では中国だけが2ケタ成長をキープした。富裕層の総資産額は対前年比7.2%増の56.4兆ドルになった。総資産は2017年には70兆ドルに達すると予測されている。

 ※集計はキャッシュ、有価証券をベースに行われている。現金化が難しい不動産、アートなどの動産は含まれていない。

◆富裕層人口と増加率(2014年、2013年)

米国 432.1万人(9%)  400.6万人(16.6%)

日本 245.2万人(5%)  232.7万人(22.3%)

ドイツ 114.1万人(1%) 113万人(11.4%)

中国  89.0万人(17%) 75.8万人(17.8%)

英国  55.0万人(4%)  52.7万人(13.4%)

フランス 49.4万人(5%) 47.2万人(9.7%)

スイス  34.3万人(4%) 33.0万人(16.8%)

カナダ  33.1万人(4%) 32.0万人(7.2%)

豪州   22.6万人(4%) 21.9万人(5.8%)

イタリア 21.9万人(8%) 20.3万人(15.6%)

 米、日、中、独の上位4カ国で、世界の富裕層人口の6割を占めるが、ドイツは10分の1、日本は4分の1と増加率が低下する中で、この他で目立った国は、インドが26%増の19.8万人で、伸び率は最高だった。一方で、ブラジルが6%減の16.1万人、ロシアが3%現の15.5万人、メキシコが4%減の12.5万人だった。

 富裕層の中のうちわけだが、資産3000万ドル以上の超富裕層は1%にあたる13.9万人。500万ドル~3000万ドル未満が132万人、100万ドル~500万ドル未満が1318万人だった。富裕層人口の伸びが緩やかになったことで、人数、資産額ともに超富裕層の増加割合が比較的に高くなっている。

 また、資産総額は約35%を占めているが、資産10億ドル以上のいわゆる大富豪の資産は株式が多いため市場環境の良さや自社株買いなどで増加していると見られる。


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