【ロッテお家騒動】火種残る「L投資会社」「光潤社」巡る戦い

 創業家内の経営権を巡る内紛が続いていたロッテホールディングスがこのたびの臨時株主総会で、二男の重光昭夫副会長(60)が自身の経営基盤を固め、一極体制で行くことが決めった。「ある程度は予想できた必然的な流れ」と見るロッテグループ関係者がいるように、日韓両国にまたがる同グループを支配する「L投資会社」も直前に昭夫氏が代表者に就任している。その一方でグループの実質的な掌握会社「光潤社」は父の武雄氏(92)が代表者のまま、長男の宏之氏(61)も反撃を諦めていないとされ、今後も波乱含みである。

◆資産を二分する兄弟も埋めがたい実績差


重光昭夫氏(8月11日、ソウル)
 ロッテの経営権と資本の掌握を巡っては昨年から表面化しており、日本を統括する宏之氏が1月にロッテHDの全役職を解任されたことで世間の知るところとなった。この理由がいっさい説明されなかったために、日韓をまたいで数々の報道や憶測が渦巻いたが、今回の臨時株主総会でいったん落ち着いた感がある。

 騒動の一連の帰結を、あるグループ関係者は「ある程度は予想できた必然的な流れ」だと受け止める。「昭夫氏と宏之氏では事業の実績があまりにも違いすぎます。双方の力を武雄氏が見抜いていないはずはないし、日本の事業で業績が上がらない中で、ロッテHDの社長に(日本の銀行出身の)佃(孝之)さんが招かれた理由の一つにはそうした面もあります」という。

 ロッテHDの持ち株はファミリーとその関連組織が多数を占めるが、従業員持ち株会が2割以上を握っており、この総会においても社内は昭夫氏の案に一応の追随をしたことは結果的に明らかということだ。

 そのロッテグループは、戦後の日本で事業を開始した武雄氏の腕一本でのし上がった韓国第5位の財閥だが、現在のファミリーの総資産は韓国サイトの財閥ドットコムによると、推定5兆6270億ウォン(約5910億円)となっている。3人の推定総資産額は次のとおりだ。

昭夫 2兆1010億ウォン
宏之 1兆9100億ウォン
武雄 7600億ウォン

 実際にグループの資産は高齢の武雄氏から移転して、宏之、昭夫の両氏に集約されていることがわかる。この数字でも明らかなように、株主総会を前にして昭夫氏が大きな力を握るまでになっていた。

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