愛娘との決別! 大塚家具・前会長「匠大塚」創業 勝久派の受け皿か?

 大塚家具の前会長・大塚勝久氏(72)が保有する同社株式95万株(約5%)を年内に売却することが関東財務局に提出した変更報告書の中で明らかになった。約17億円程度の資金になるが、それと同時にすでに家具メーカー「匠大塚」を設立しており、委任状争奪戦を繰り広げた長女・久美子氏(47)率いる大塚家具とは、今後は正式に「商売敵」となる。

◆「匠大塚」は一掃された勝久派の受け皿?
 大塚家具創業者の大塚勝久氏が千代子夫人とともに保有する同社株387万株(約20%)のうち、95万株(約5%)を年内に、三菱UFJモルガン・スタンレー証券を通じて市場で売却することを届け出た。自宅などの不動産以外のほぼ全資産は大塚家具株であり、その虎の子の資産を売却する資金を、「匠大塚」の事業資金に充てると見られる。

 匠大塚は資本金3000万円で、今年7月1日付けで設立された。東京・品川の高級賃貸マンションの一室に本社を置いており、まだ本格稼働はしていないと見られるが、法人登記によれば、家具などの卸売、小売、アフターメンテナンス業務など幅広く行うが、まさに大塚家具の商売敵となるようである。

 代表取締役は勝久氏と長男・勝之氏の2人、ほかの取締役には千代子夫人、元大塚家具幹部の池田真吾氏と所芳正氏の計5人が名前を連ねている。社員を全員子供だと考える親分肌の勝久氏だけに、自分に追随したがために一掃された幹部たちの受け皿を作るという意味もあるのではないかと考えられる。

 一方の大塚家具は6月に長女である久美子社長が新ブランドビジョンを発表し、勝久氏時代からのシンボル的な存在でもあった会社ロゴを刷新しており、さらに家具のリユースを新規事業として打ち出すなど完全に久美子体制に入っており完全な決別でもある。2013年には、勝久氏が大塚家の資産管理会社であるききょう企画を相手取って社債償還を求める訴訟が提起され、2014年には久美子社長が解任され、今年6月の株主総会の委任状争奪戦では、久美子社長の改革路線が信任されている。

 匠大塚の存在が明らかになったのが8月17日だが、勝久氏は7月に大塚家具、ひいては長女・久美子氏と決別を宣言するような言動を行っていた。

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