米著名ヘッジファンド運用会社パーシング・スクエア・マネージメントが、加製薬大手バリアント・ファーマシューティカルズの株式約500万株を昨年末に計5億2033万ドル(約623億円)で売却していたことを発表した。売却する前の段階では保有比率9.9%、3410万株で、時価にして約32億ドルに上っていた。理由としては、オンショアのファンドに組み入れている分だといい、課税が発生するために税金のロスを避けるためだとしている。また、CEOの病欠発表のタイミングにもかぶっており、そちらの影響もあるか。
バリアント株を巡っては昨年10月にアクティビスト「シトロン・リポート」がバリアントをエンロンだと称するレポート発表によって、バリアントの株価は1日で最大約40%も下落した。高値のところから換算すれば、パーシングは3000億円以上の含み損を抱えることになった。ただ、パーシング創業者ビル・アックマン氏がここで200万株をナンピン買いしたことをTV出演で明らかにしていた。
SEC(米証券取引委員会)に提出したファイルによると、売却した分は二つのオンショアファンド「パーシング・スクエアLP」「パーシング・スクエアLP2」に組み入れられた株式で、前者の490万株と後者の12万株をそれぞれ売却している。
12月24日から売却を始め、同31日に終えている。
ただ、28日にバリアントのマイケル・ピアソンCEOが医療休暇に入ったことを発表。トップ不在にも同社は取締役会の力で乗り切ることができるとも発表しているが、皮膚科医療で最も影響力を持つ製薬会社となった同社の現在の屋台骨を築いたトップの現場離脱は株価にも影響を与えた。この日だけで約10%急落している。
これまでアックマン氏はバリアントの経営に対する信任を表明しているものの、その一方でピアソンCEOに対して、株価急落を食い止めるために効果的なIRを行うなど何らかの措置を取るべきだとの注文も付けている。課税ロスを防ぐという発表だが、タイミングとしてはCEOの病欠という面もあり、売却はどちらの比重が重いのかまではわからない。