本当にお金のある人はどう考え、行動するのか?「富裕層のお金の哲学」と題して、2回に分けてお届けする。
「成功者」とされる人に3000人以上インタビューし、『3000人の成功者に学んだ うまくいく人がやっている100のこと』という著書もあるブックライター、上阪徹氏に、お金持ちのお金の哲学について聞いた。
成功者は常に「上には上がいる」と考える
上阪氏によると、成功者とされるような人は、例外なく「よく働く」という。
「ソフトバンクの孫正義さんも、ユニクロの柳井正さんも、朝から晩まで働いていると聞きます。もう充分稼いでいる人たちです。食うに困ることなんて絶対にない、むしろこれ以上稼いでも使いきれない、そんな状態でも彼らはなぜ働くのをやめないのか? 仕事が好きだから、とかではなく“志”が大きいからです。
みなさん世の中を良くする、社会の役に立つ、世界を変えるといった、大きな志をお持ちです。それは“目標”とか“夢”なんてよく使われるような言葉じゃない。目標や夢は個人のために働くことです。そうではなくて、彼らはもっと大きなもののために働いている。それが、“志”です。そのレベルでいうと、自分はまだまだ何も成し遂げられていない、彼らはそう考えるのです」
「自分が儲けてやろうと思っていても、稼げるお金の額はたかが知れています。たくさんの人の役に立つから、大きなお金が入ってくる。
価値を生み出せて、それが世の中的に正しいものであれば、お金は自然と入ってくる、成功者といわれるような人たちの姿からは、それが伝わってきます。
そして成功者の周りには、成功者がたくさんいます。『上には上がいる。自分よりも大きなことにチャレンジしている人がいる、成し遂げている人がいる』それに刺激を受け、彼らはさらなる高みを目指すのかもしれません。
彼らには『これでいい、これで十分』という言葉はありません。いつでも『まだまだ、これから』なのです」
周囲のステージを上げることで、自分のステージを上げていく
成功者が常に目指しているのは「人生の次のステージに行くこと」だ。自分1人だけがうまくいくのではなく、周囲もうまくいくように力を貸す。それは、実は成功者自身のためでもある。
「自分がプレイヤーとして大きく成果を挙げたというのが1つのステージクリアなら、人に力を貸し、人を成功させるのが彼らの次のステージです。
自分がやればすぐに終わるようなことでも、やり方を1から人に教え、成果が出るまで見守っていくのは根気のいることかもしれません。ですが育てることは彼ら自身が次のステージに向かうためには欠かせないことなのです。
人に教えることは、自分の積み重ねてきたことの振り返りでもあります。教えることで自分自身が気づかされることはたくさんあります。
また、教えるためには自分がそのことについてよくわかっている必要がある。わかっていなければ、学ばなければなりません。その繰り返しで、その人自身も成長します。教えることそのものが、その人自身の向上につながっていくのです」