CNN特派員が教えるエグゼクティブとのコミュニケーション術

ダルビッシュ選手のボディーランゲージに注目してほしい

―インタビューの中で、特に印象に残ったことは何ですか?
「私生活から野球のことまでさまざまな質問をしましたが、野球の話になるとがぜん、彼の目が一段と輝きだし、体全体で熱意を示してくれたことです。放送時は話す時の手や体の動きなど、彼のボディーランゲージに注目してください。ボールの握り方やピッチングフォームなどの野球の技術的なことを教えてほしいと言ったら、彼は目を輝かせて前のめりになって、1つ1つ職人のように教えてくれました。私にわかってほしいという気持ちで、すごく丁寧に熱心に話してくれて。彼の野球に対する喜びや情熱がすごく伝わってきました。」

―ダルビッシュ選手は、将来のビジョンについては触れていましたか?
「もちろん、将来についての質問もしました。本人にはアメリカでプレイしたいかどうかを聞きましたし、彼だけでなく彼のファンや他の球団の監督にも意見を聞いたりしました。いろいろと微妙な問題があるので彼は何も明言していませんが、予想よりははっきりとした反応を感じましたね。昔よりはそういう可能性を身近に感じていることがわかりましたね。」


WBCでのダルビッシュ選手とイチロー選手

プロフェッショナルとの会話では、素人であることが有利に働く場合も


隈研吾氏の建築現場を訪れたニール氏
―隈研吾さんには、どのようなテーマでお話を伺ったのですか?
「デザインに対するアプローチ全般ですね。彼が主に語ってくれたのは、伝統的な日本の建築を再生する仕事、彼の広い職域についてや、常に世界中でいくつものプロジェクトを抱えていて年に1日か2日しか休めないことなど。また抽象的な概念を、ある地域のある環境の中で具体的にどう表現していくのか、なども語ってもらいました。」

―これまで日本の建築家に会ったことはありますか?
「ないですね、アメリカ人の建築家もないです(笑)。私は建築という分野の専門家ではないので、事前にたくさんリサーチをして臨みました。その世界のトップの方とコミュニケーションする際、その分野の素人であるということは、有利に働くこともあります。それは『この分野はわからないから、知らないから教えてください』と言うことができるということ。そうすれば相手の懐にスムーズに入れるかもしれない。隈さんは建築のプロではない私に、非常に丁寧に、熱心に教えてくれました。」

―実際に建築現場にも足を運ばれたのですか?
「彼のオフィスに行ったり、改装中の根津美術館の現場も見学させてもらいました。そこで彼から実際に、なぜこのような設計をしたのか、例えばある置石をある特定の間隔で並べた理由や、そんな風に置いてあるのかというのを解説してもらいました。それまで、建築家は皆、ハイテクなオフィスでコンピューターで仕事をしているというイメージを持っていました。たしかにそういう部分もありますが、建築は実際現場で建築家本人が関わる部分が大変大きい、ということが今回わかりました。建築に使う建材の素材についても詳しくなければ仕事にならないということも。建築家は職人さんたちと費やす時間が非常に多くある。それが私にとっては新しい発見でした。」


ニール氏へ詳しく建築の解説を行う隈氏

1 2 3 4
よかったらシェアしてね!
目次
閉じる