「有言実行」こそ成功の鍵
イラン人のネザマフィさんが好きな日本の言葉に「有言実行」という四文字熟語がある。幼い時から物語を作るのが好きだった。「いつかは…」という思いを日本に来てからも持ち続けて、そして日本語という形で発表することができた。
「サラムを書いた後も、何か日本の人々が知らないような世界を書いてみたいとずっと思っていました」
『白い紙』に日本人はまったく登場しない。戦火のイランを舞台に高校生が主役となっている。正直、日本でウケるネタとは思いにくい。ただ、『サラム』『白い紙』は主人公はいるのだが、不思議なことに主語がない。母国語のペルシヤ語でも使わない手法だという。これは読者に感情を移入してもらいやすくするため、という配慮からだ。心憎い演出を外国人にやられるとは、不思議な感覚だ。
最後まで「努力」や「苦労」などは語らないネザマフィさん。「有言実行」を形にする人は、やはりそんな人なのだ。現在もパナソニックで働きながら、創作活動を続けている。次回作がどこが舞台のどんなストーリーになるのか、今から楽しみになってくる。
「白い紙」