マルサが来て初めて気づいた「脱税」
磯貝清明氏の税金の納付書
2008年10月。とある日の午前8時、場所は東京・港区、六本木ヒルズ。招かれざる訪問者たちの行先は、磯貝清明氏の部屋。何度か鳴るインターホンが耳障りだ。荷物などはコンシェルジュが預かってくれるため、磯貝氏には、急な訪問者だということがわかった。この時、まだ東京国税局査察部の職員マルサとは知る由もなかった。
用事で自分の会社に電話したところ「社長いますか」と、すでにマルサたちが訪ねてきていたことを、社員から告げられた。東京国税局査察部の調査員、通称マルサがすでに会社にも踏み込んでいた。マルサに一度、目をつけられれば、もはや逃れる術はない。なぜ、自分の所に来たのか、考えを巡らせてみたが、あるとすれば「あった」。
「納税をしていなかったな。僕自身が大雑把な性格で、ネット(FX口座)に入金していたら入れっぱなしで、現金の実感がなかったということもあります。マルサが来て初めて、『俺ってそんなに稼いでいたのか』という感じでした。税金のことに無知すぎました」
ここにネット取引の一つの落とし穴がある。知らないうちに最大約10億円にまで増えていた。磯貝氏もそうだが、みんな、こうしてFXの税務申告を怠ってしまうのだ。脱税とは富裕層をはじめ「YUCASEE MEDIA」(ゆかしメディア)の読者にも興味関心が高い分野でもあることから、磯貝氏は、自身の経験を役立ててもらいたい、ということで今回、取材に応じた。