早朝からガサ入れ、深夜まで取り調べ
鳴り続けるインターホン。マルサは諦めて帰るつもりはなさそうで、焦る磯貝氏。落ち着くためにとりあえずシャワーを浴び、着替えて外に出た。だが、部屋に戻ると、そこにはマルサがまさにガサ入れを行っている最中だった。彼らはとにかく「ガサビラ」(令状)さえあれば、どこへでも入っていくことができる
「磯貝清明さんですね」
査察官からそう尋ねられた磯貝氏。スーツ姿のマルサたちは、お金を数える人、トレードの記録などをCD-ROMに落とす人、書類関係をまとめる人などのいくつかの班に分かれて手際よく証拠を押さえていった。そして統括する人が現場で指示を出しながら、携帯電話でほかの現場の指示も行っていた。磯貝氏は、その様子をただ呆然と、黙って眺めるしかなかった。
「車の中も全体を調べられたし、友達の家、元カノの家も調査されて、その日の仕事を休まされた人もいたそうです。みなさんに本当に申し訳ないです。また、(マルサに)通帳の場所を聞かれて、悪あがきでロビーのソファーの下に隠したと言ったら『なんでそんな所に』とこっぴどく怒られました」
朝8時すぎから始まった捜索だが、「これで終わった」と思った午後10時ごろから、場所を東京国税局に移して取り調べが始まった。取調室では磯貝氏に対して査察官が3人。何回も同じことを聞かれて『本当か?』としつこく容赦なく突っ込まれそうだ。完全に絞りつくされた磯貝氏がその場を解放されたのは、午前1時を回ってからだった。
磯貝清明氏