アメリカでは常識
(左から)大根田勝美氏、ルイス・ペル氏
大根田さんはJ&J株を38万7500株受け取った。売却時には価格が上がり、3500万ドルの利益になったという。このケースでは140倍にもなったことになる。
「アメリカの企業は、いいテクノロジーを持った他の企業を常に狙っているんです。だから、良い技術を持った企業ならば売却するチャンスはいつでもあります。例えば、ジョンソン&ジョンソンのような大企業は、買収できるような事業はないのか、最初から狙っています。初期の段階のうまくいきはじめたあたりで出資を申し出てくるのです」
大根田さんはさも簡単そうに語るが、実は、これほどまでにうまくいった人の例はそれほど多くはない。それは繰り返すことになるが、大根田さんの医療機器への造詣の深さと、ペル氏の目利きと交渉力があってこそだ。だが、実力がある人にとっては、アメリカは一獲千金のチャンスが眠っている国だということでもある。
「アメリカでも売る側は1日も早く売却してキャピタルゲインを得たいと考えています。みんな、それが目的と言ってもいいくらいです。無一文から100億円、1000億円稼いだ人もいるくらいですから。でも、ほとんどの人が失敗しているようですから、甘くはないんですけどね」
会社は経営するものではなく、売るものである。これが資産を築くための最短で辿り着く方法なのだ。最近は日本でも若い世代の経営者には、こうした考え方も生まれており、日本国内でもチャンスの裾野は広がっている。
もちろん、中卒から組立工としてキャリアをスタートさせた、大根田さんのように「意思」+「実行」が必要になってくるのは言うまでもない。