名コーチは大金を積んでも味方につける
荒川静香さん(トリノ五輪)
「年間3000万円」。一説にはオリンピック出場選手クラスで、そのくらいが相場とも言われる。スポーツとは優劣を決するものだが、本来参加するだけなら誰もが平等であることには違いない。しかし、門を叩くにあたって、これだけ敷居の高さを感じさせる競技は他にないだろう。
費用として必要になる項目を挙げると次のようなものがある。コーチレッスン、トレーニング、リンク使用、振付、衣装、クツ、遠征・滞在など。それぞれ決して安いものではない。
「一番高いのはコーチに支払う費用です。浅田さんのタラソワコーチ、安藤さんのモロゾフコーチあたりの超一流どころには、最低でも年間1000万円以上が必要になります。一般的に、契約書を交わさないことが多い世界なので、正確な条件や金額はわかりませんが、レッスン料金に振付料込みだったり、あとは、コーチの方から『俺がコーチをしてやる。お金は出世払いでもいい』などと売り込んでくることもあるそうです」
他のスポーツの感覚であれば、コーチが試合をするわけではない。だから「そんなの誰に頼んでも同じだろう」と考えたくはなるが、それは間違いだという。
「五輪でメダルを狙うなら、その可能性のあるコーチは限られています。日本国内なら20人もいないでしょうね。だから、良いコーチにレッスンを受けなければならず、それをケチることは無理でしょう」
だから選手たちは、超一流のコーチ陣の中から、自分のスタイルや考え方に合う人を選ぶ。次ページでは他の費用についても見ていく。