◆マクドナルドなしでは生きていけない仏国民
中はしっとり外はサクサクに焼き上げた生地にクリームを挟んだマカロンは、非常にデリケートなお菓子。製造工程もかなりの手間ひまを要し、賞味期限の設定も2~3日と生ものに近い。それをマクドナルドは工場から冷凍配送したものを解凍するというシステムをとっているためか、食感が「ぱさぱさしている」「固い」などの厳しいコメントもある。
だが一方で「この価格なら悪くない」とする声があるのも事実(ラデュレの親会社グループ・オルデールの子会社工場で製造している)。価格は1個0.9ユーロ(約110円)と、老舗店と比べて半額程度であるからかなりお得だ。
しかし味そのものよりも、今回のブーイング勃発の背景には“美食の国”フランス発祥の高級菓子であるマカロンが、アメリカ資本の象徴たる巨大ハンバーガーチェーンで売られるなんてとんでもない、という反発心が根幹にあるようだ。
昨秋マクドナルドはルーブル美術館の地下入り口横に、ルーブル店を新規オープンさせたばかり。「景観を損ねる」「悪趣味」などとフランス国内で物議を醸した。さらに、ハンバーガーに見立ててマカロンを両手に挟んだポスター広告が駅に貼られ、これも一部の反マック感情を逆なでした。これらが重なり、今回の物議につながったようだ。
マカロンが、大衆的なファストフードに成り下がってしまうのでは・・・。そんな美食家のフランス人の不安が見え隠れするこの騒動。しかし、どうあがいても、アメリカに次いでフランスは世界第二位のマック大国。どうやら文化は変わらざるを得ないのかもしれない。